主力ほど無理をする人ほど、止められない

組織の中でいちばん無理をしているのは、たいてい主力と呼ばれる人です。

責任感が強く、頼られていて、簡単には「できません」と言わない。本人は限界を認めたがらず、周りはそれでも頼り続けます。これは、意志の強さや弱さの話ではなく、構造の話だと僕は考えています。

頼られる人ほど、自分からは止まらない

主力と呼ばれる人には、共通する動き方があります。多少の不調があっても、まず自分でなんとかしようとする。周りに相談する前に、自分の中で処理してしまう。そうやって乗り越えてきた経験が積み重なっているぶん、今回も同じように乗り越えられると、本人も周りも思い込みやすくなります。

チームドクターをしていたころ、似た場面を何度も見てきました。試合に出続けている選手ほど、小さな痛みを申告しません。休めば代わりの選手が出るとわかっているからこそ、我慢のほうを選びます。そして、その我慢が結果を出している間は、誰も止める理由を持てません。

気合いで乗り切れているように見える、その内側

厄介なのは、無理をしている本人が、実際に結果を出し続けてしまうことです。数字が落ちない、評価も下がらない。むしろ「あの人がいれば大丈夫」という空気のほうが強くなっていきます。

その空気の中で、本人から「そろそろ限界です」と言い出すのは、想像以上に難しいことです。周りに迷惑をかけたくない、期待を裏切りたくないという気持ちが、体の状態を申告することより先に立ってしまう。意志が弱いからではなく、責任感が強いからこそ起きる構造です。

法律が用意している、接点を持つ仕組み

労働安全衛生法には、長時間労働をした労働者本人からの申し出があった場合に、医師による面接指導を行うことが定められているとされています。ストレスチェックで高ストレスと判定された人についても、同様の仕組みが用意されています。

この制度は、時間や数値という条件を満たしたときに動きます。ただ、そこに意味があるとしたら、条件を満たした人と医師が定期的に接点を持てるという点だと僕は考えています。本人からの申告を待つだけでなく、組織の側から接点を作っておくことができるからです。

根性論では止まらないから、仕組みにする

主力ほど無理をするという構造は、本人に「もっと早く言ってほしい」と伝えるだけでは変わりません。周りに「気づいてあげて」と呼びかけるだけでも、同じです。どちらも、個人の注意力に頼る対策だからです。

僕が組織に持ち込みたいのは、定期的な関わりの中で、変化の兆しを早い段階で拾える仕組みです。誰かが気づくのを待つのではなく、決まったタイミングで、決まった形で状態を確認する。主力と呼ばれる人ほど、その仕組みの中に組み込んでおく必要があると考えています。

主力の人が倒れてから対応するのと、倒れる前に接点を持っておくのとでは、組織にできることの幅がまったく違います。その差を、仕組みとして埋めていきたいと思っています。

たとえば、状態を確かめる定期的な関わり。
サッカーチームで選手一人ひとりの状態を確かめていたやり方を、チームドクターとして企業の中にも作っていくつもりです。

企業ご担当者の方へ

主力の社員ほど無理をしている、そんな状況に心当たりがあれば、まずはご相談ください。

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※産業医としての業務は労働安全衛生法に基づく職務です。診療(診断・治療・投薬)は行わず、治療が必要な場合は医療機関をご案内します。産業医業務は現在準備中(2026年9月下旬 開始予定)で、ご相談・ヒアリングは今から承っています。

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